近視とは、眼内に入った光が網膜よりも手前で焦点を結んでしまい、網膜にピントがあわない状態を言います。 網膜に焦点を結ばない原因として、角膜から網膜までの長さ(眼球の長さ=眼軸長)が正常よりも長い場合と、角膜や水晶体の屈折力が大きすぎる場合とがあります。前者を「軸性近視」といい、後者を「屈折性近視」といいます。
網膜上に焦点があっています
網膜よりも前に焦点があっていて、正視より眼軸(眼の奥行)が長い
網膜よりも後ろに焦点があっていて、正視より眼軸(眼の奥行)が短い
眼軸長の長い短いは遺伝的に決定されます。遺伝的といっても、詳しい遺伝形式は解明されておらず、両親の眼軸長が長いからといって必ずしも子供の眼軸長も長くなるとは言えません。角膜・水晶体の屈折力についても、遺伝的な要素と後天的な影響が関与していると考えられています。やはり遺伝形式については解明されていません。
近視の進行には角膜や水晶体、眼球の長さなど眼のいろいろな部分の変化が関係していると考えられます。中でも、近視の進行に最も大きく影響しているのは眼軸長の伸びでしょう。
体が成長していくとともに眼球も成長するために、主に学童期には眼軸長も長くなっていきます。眼軸長の伸びは、身長の伸びと同様に本人の努力で変えることは出来ません。眼軸長の伸びは、10歳台までが著しく、ほとんどの人では20歳台後半になるととまります。
読書やコンピューター、テレビゲームなどの近くを見る作業を長時間続けていると、眼内の調節筋が常に働いて、近くにピントを合わせる状態を作りつづけることになります。この状態が続くと、一時的に屈折力が強くなり、近視に類似した状態になります。これは昔でいう「仮性近視」の状態ですが、現在では「調節緊張(調節痙攣)」と呼ばれています。これは、眼が非常に疲れた状態とも言えます。
学校の視力検査で視力の低下が認められ、眼科を受診した方の中には、点眼で様子を見るように言われた方もいらっしゃるかと思います。この点眼薬は、余計に働き過ぎている眼内の調節筋を麻痺させ緊張をとってあげて、近視の状態から解放させるための点眼薬です。
詳しくは、子供の仮性近視をご覧下さい。
調節緊張でない、本当の近視になってしまった場合には、もはや点眼治療は無意味です。見えない状態での生活は、例えば勉学の際の集中力の低下につながったり、スポーツの時に不利であったりするだけでなく、時には危険につながることもあります。小学校低学年の児童が学校生活を送るには0.7程度の裸眼視力が必要といわれており、それを下回った場合には眼鏡、コンタクトレンズの装用を考えた方が良いでしょう。